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家具工房に捧ぐ

  • 研ぎと時間

    木工教室に参加されている生徒さん方から、木工の刃物についてより深く取り組んでみたいとの希望を伺います。上手い下手は別として、ある程度木工作業を継続してやっていると、刃物の切れ味や刃物そのものに少しずつ興味が転じていくのは自然な事だと思います。しかし「研ぎ一生」という言葉があるくらい刃物を研いでうまく使えるようになるにはある程度時間が掛かります。私自身も最近やっと刃物が使えてきたかなと感じていて、これについてはまだまだ修行中の身だと思っています。

    木工や物作りはその殆どの技術が原理原則に従っています。刃物についてもそうで、原理原則を理解し練習を重ねれば誰にでもできる事なのですが、なかなかうまくいかない理由のひとつとして、シンプルな構造のもの程、その原理原則を理解するのが難しいといった理由があると思います。刃物の切れ味や研ぎの感覚は図面や寸法で確認する事ができません。しかし、必ず原理原則に従って何らかの変化が起きています。それを図面や寸法で確認するのではなく、削った時の感覚や研いだ時の感触、また軽微な変化を見落とさず肉眼で認識できる様になる事はとても時間の掛かる事です。一朝一夕にはいかないのですが、それも含めて木工を楽しんで貰えればよいと思うのでうが、何よりも大切なのは時間の掛かる技術習得だけに謙虚な気持ちで取り組む事かと思います。

    顔面マッサージを受けるスタッフ・トラ。研ぎは未だに習得できていません。