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家具工房に捧ぐ
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軽い衝撃
木工教室でノミなどの刃物の研ぎを生徒さんにやってもらう事がある。本来は全てに優先してやってもらいたい刃物の研ぎなのですが、教室が開催されている時間の範囲内ではなかなか研ぎばかりやる訳にいかず、タイミングを見計らってできる時にやったもらっています。
生まれて初めて木工刃物の研ぎをするという方が殆どなので、研ぎの理屈とポイント、そして私の研ぎを見てもらって、直ぐに生徒さんにもやってもらっている。もちろん最初からできない事が前提なのですが、驚いたことに最初からできる方もいる。というかかなりの方ができる。刃物の研ぎにおいて「できる」という明確な基準の説明は難しいのですが、刃返りと言って刃先にジョリジョリっとした鉄粉が発生した時がひとつの目安となります。生まれて初めてノミを研ぎながら刃返りを出すという事は、私にしてみるとかなり衝撃的な事です。
思い起こせば職業訓練校時代、入校当初は本当に朝から晩までノミなど刃物の研ぎをやらされていて、あまり長時間やっているものだから逆によくわからなくなって。というか、理屈をよく理解しないままやみくもに研いでいた印象があって、今考えてみると本当に時間の無駄と言い切っても過言ではない当時の指導方針に書いていてだんだん腹が立つ程です。まぁ研ぎ以外にもかなり多様な技術を教えてくれるところなので、それなりに感謝ではあるのですが、今どう考えてもあんな教え方では、どうやっても研げませんよと声を大にして言いたい。
当時の職業訓練校に対しての愚痴は置いといて、当木工教室内での研ぎなのですが、理屈、実演、刃物の持ち方、どこにどう力を加え、どこに力を与えてはいけないか、最初から決して早く研がない、などのポイントをじっくりと理解してもらいながらある程度自由にやってもらうと大体の方は初回から刃返りを出せるのです。ただ研ぎは奥が深くて、そもそも刃物を研ぐ砥石に平面が出来ているとか、状況によっては刃裏も研がなくては行けなくて、全てを理解し自分の物にするのにはそれなりに時間が掛かります。しかし、その全ては理屈の把握とそれを踏まえた上での練習でしかありません。