家具木工よもやま話

建物

私は、事業用の工房建物を自分で建て、現在使っています。
とても珍しいケースだと思うのですが、その分工房建物に対する思いは人一倍強いかもしれません。また、知人作家などの工房も多く見てきた経験からそのポイントなどについて書いてみます。

事業としての家具工房建物として多いのが、それ以前に別の事業に使われていた小規模工場的中古物件を賃貸または購入して使用されているケースです。過去に何らかの生産工場として使われていた建物ですので作業空間としては使いやす状態にあるのだと思います。広さ・面積については従業者数など事業規模にもよりますので一概に言えませんが、広すぎて困るということはないと思います。一人経営でも工房に配置する機械は10台前後は必要になりますし、それぞれの機械に作業スペースが必要なので機械同士距離を置いて配置しないといけせん。それぞれの機械が大きいうえに空間を開けて配置する訳ですからかなりのスペースが必要です。

その他、家具の製作組み立てスペース、木材の保管スペース、完成後の家具の保管・養生スペース、また家具の工法によっては塗装スペースも別に必要になります。天井もある程度の高さがある方がよいと思います。家具用の木材は市場で売られているもので3m前後(長いもので4m)が多く、このサイズを壁面に立てかけて置いたり、天井高を気にすることなく作業する事を考慮できればよいと思います。関連して照明についてですが、照度が確保できる範囲で、こちらも出来るだけ高い位置にある方がよいと思います。作業時に長い部材を振り回した時に蛍光灯を打撃し、ガラスの雨を降らしたことがあります。

冷暖房についてですが、基本的に事業としての家具工房・工場で冷暖房が入っている所はあまり見受けないように思います(調査不足かもしれません)。理由は、急激な湿度の変化により木材が収縮したり反る事を防止する他、工場の様な建物は広すぎて冷暖房が効きにくくいコスト的な理由もあるのではないかと思います。個人的な考えですが、冷暖房の有無よりも可能であれば建物の天井部や壁面に断熱材が入っている事の方が大切ではないかと思います。私の工房は建築時にグラスウールの断熱材を天井と壁に入れました。それでも真夏は暑いのですが、作業ができない程の暑さになることは超猛暑日を除いてありません。また冬は小さな石油ストーブで十分に暖をとれます。

その他ですが、建物と道路とのアクセス状況も大切です。当初は大型機械の搬入もありますし、事業が展開しだしてからは、資材の搬入の他、完成した家具の搬出もありますので車両がつけやすい建物環境が望ましくなります。 あとは騒音問題ですが、私は町中で工房をやっていますが今のところ音に対する苦情などはありません。それよりも地域の人たちと仲良くしている事の方が大切ではないかと思います。

工房

2010年に建てた工房