家具木工よもやま話

材料

DIYや日曜大工には針葉樹。家具作りには広葉樹。その違い。

DIYや日曜大工趣味の場合、その材料となる木材はホームセンターなどで購入される場合が多いと思うのですが、ホームセンターで販売されている木材の9割は針葉樹です。柔らかい針葉樹は加工しやすくまた加工後の応力(収縮や反りの力)も弱いため加工用木材として販売しやすい事が理由だと思います。一方、広葉樹はその硬さ故、切削や切断などの加工が針葉樹と比較して困難なうえ、応力が極めて強く、安易に加工していると強い力で反りや歪を発生させます。このような取り扱いの困難性が広葉樹が一般にはあまり販売されていない理由ですが、この一般にあまり出回っていない癖のある広葉樹を正確に加工し、精度高く家具を作るのが本格的な家具木工でありDIYや日曜大工と一線を画すところでもあります。

もう少し具体的にその加工の困難性を説明しますと、まず材木商で取り扱っている広葉樹は全て荒材(カンナ加工が施されていない板)であるため自らで家具として使用できる部材へと切削加工しなければなりません。DIYや日曜大工はもとより現在ではプロの大工さんでも木材の切削加工はあまりやらなくなってきているのですが、家具木工の場合、最初にこの荒材からの切削作業が必須となります。具体的には機械カンナで真っ直ぐな平面に削るのですが、ここで安易に削っていると木材内部の水分割合が不均等になるため反ったり歪んだりします。できるだけ表裏均等に削るなどの注意が必要です。また広葉樹には木目により表情がありますのでそれを見ながら、削る事も大切になります。

機械カンナで家具用の部材として使用できる形状になったら、更に機械加工、手作業による加工を進めていくのですが、ここでも広葉樹特有の硬さや応力がネックになります。機械加工の場合、加工途中に強い応力が発生する事もあって危険な作業が増えます。また手加工についても堅い木材を加工する為、よく切れる手道具(ノミ・ノコ・カンナなど)を準備しなければ加工には及びません。

広葉樹を用いた家具作りの難しさの根本的な理由は、この広葉樹特有の堅さや応力にあります。アマチュアの製作品や建築現場には針葉樹が盛んに使用されていますし、一般には両者は非常に混同されやすいものですが、これから本格的に家具作りを学ばれる方には大変重要なポイントになる事だと思います。

仕入れた荒材

仕入れた荒材、ここから加工が始まる。